オーストラリア・ビクトリア州で不動産を売るには
自宅を購入する際には「一生住む家」だと思うことが多いですが、人生には予期せぬ変化があり、売却が必要になることもあります。筆者の場合も最近、子どもの学校に近い地域に引っ越すために家を売却し、別の家を購入しました。また、将来的に高齢になった際には住まいを縮小する目的で家を売ることもあるでしょう。
本日は、ビクトリア州で不動産を売却する流れと、名義変更と売却代金の受け取りについて解説します。
不動産エージェントの雇用(Selling Agent)
ビクトリア州では、不動産エージェントなしに不動産売買を行うのは難しいです。家族間取引を除き、一般の市場で売却する場合にはエージェントのサポートが不可欠です。彼らは取引成立時に売主からコミッションを受け取ります。
オープンインスペクション(内覧会)
エージェントが広告を出し、物件の内覧会を行います。その際は貴重品を隠すなどの注意が必要です。また、来場者の身元と連絡先を記録してもらうように依頼してください。複数回来場した方が最終的な購入者になることも多いです。
販売方法:オークション vs 個別交渉
主な販売方法は以下の2つです:
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オークション:公開入札により価格が決定され、契約は無条件。買主は融資条件や建物検査条件を付けることができません。クーリングオフ期間もありません。
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個別交渉販売:価格や条件を交渉の上で合意します。契約には条件(融資承認、建物検査など)が付けられ、住宅・農村物件では3日間のクーリングオフ期間があります。
信頼できるエージェントと相談のうえ、自身の状況に最も合う方法を選びましょう。
法律文書の準備:契約書とSection 32
販売方法が決まったら、信頼できる弁護士に以下の書類の作成を依頼します:
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不動産売買契約書
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Section 32(売主開示文書)
Section 32とは?
「1962年土地売買法」に基づき、契約締結前に買主に開示すべき情報をまとめた文書です。
内容には以下が含まれます:
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権利証(タイトル)の写し
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担保ローン情報
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地役権
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固定資産税・水道代情報
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管理組合証書(マンションなど)
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火災リスク地域かどうか
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増築の許可証など
内容に誤りや漏れがあると、契約解除や法的トラブルにつながるため、正確に作成する必要があります。
売買契約書(Contract of Sale)
契約書には以下を含みます:
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売主・買主の情報
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不動産の登記情報
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売却価格、保証金、決済日
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特別条項(GSTの有無など)
重要事項がある場合は弁護士に伝えて契約書に盛り込んでもらいましょう。
保証金と信託口座
通常、買主は売買価格の10%をエージェントの信託口座へ入金します。この口座は毎年審査され、安全に運営されています。
保証金の早期引き出し
ビクトリア州独自の制度として、売主は条件付きで保証金を決済前に引き出すことができます:
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契約が無条件であること
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売主の借入が販売価格の80%未満であること
決済(Settlement)
決済日は、買主が残金を支払い、登記がPEXAで移転される日です。弁護士が代理で行うため、売主は信頼できる弁護士に手続きを依頼することが重要です。決済完了後、鍵の引き渡しをもって売却完了です。
最後に
上記のとおり、不動産売却には弁護士の関与が非常に重要です。書類作成から最終決済まで、すべてを管理してくれます。
ソロモン法律事務所では、過去14年間にわたり、ビクトリア州にて安全で確実な売買サポートを提供してきました。ぜひ私たちにお任せください。
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、具体的な法的助言ではありません。詳細は専門家にご相談ください。

